綾瀬ひふみ皮膚科

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老人に起こる
皮膚疾患

老人に起こる皮膚疾患

老化により起こる皮膚の変化について教えてください。
少し難しいお話になりますが、ご説明致します。
皮膚は角質、表皮、真皮、脂肪の順に層を成しています。
老人では加齢に伴い、皮膚最表層を構成する表皮細胞の増殖能が低下するため表皮は薄くなり、表皮の次の層である真皮に含まれる線維芽細胞数が減少するためコラーゲン、弾性線維が減少し、シワやたるみが形成されます。こういった加齢に伴う変化を「生理的老化」あるいは「自然老化」と呼びます。
これに対し、顔、首、腕などの露光部では、紫外線による影響のため生理的老化とは異なる「光老化」が起こります。「光老化」では表皮は肥厚し真皮との境界である基底膜のコラーゲンは分解・変性を受け多重化します。真皮でもコラーゲンの分解・変性が起こり、変性した弾性線維が蓄積されます。「生理的老化」では真皮の構成成分であるグリコサミノグリカン(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸など)は減少しますが、「光老化」では減少せずに弾性線維変性部に限局して沈着するという変化を起こします。
若い人と比べ、老人ではどういった皮膚の問題が起こりやすくなりますか?
「光老化」の変化により、深いシワ、乾燥が起きます。農家の方、漁師さんの後頚部に起こる「項部菱形皮膚」はこのようにして発症します。「光老化」による変化は顔面では多数の「面皰(めんぽう)」を引き起こします。「面皰」は皮膚に出来る角質が詰まった小さな穴です。
また、皮下脂肪も加齢とともに減少し表皮、真皮の変化も伴って皮膚が萎縮したるみます。これを「老人性皮膚萎縮症」と呼びます。臀部では皮膚の加齢変化に加え、繰り返し受ける加重や摩擦により、表皮肥厚、乾燥が増し「臀部老人性苔癬化局面」を形成します。
四肢では皮膚菲薄化、血管壁の脆弱化により「老人性紫斑」が起こります。外傷にも弱く、転倒、打撲で容易に「表皮剥離」が起きます。皮膚の脆弱化に加え、活動性の低下から骨突出部は加重により「褥瘡」を起こし易く、体位変換、加重を出来るだけ広い面積で受けるような工夫が必要となります。
汗腺、脂腺機能低下により皮膚は乾燥し、「老人性乾皮症」、「皮脂欠乏性湿疹」が出現します。明らかな湿疹はなくとも、乾燥や皮膚の脆弱化のため広範囲に瘙痒が起こることがあり、「老人性皮膚瘙痒症」と呼びます。
活性メラノサイト、メラノソームの減少、脱落により、毛髪では「白髪」、皮膚では「老人性白斑」が出現します。
男性ホルモンの影響による男性型脱毛症(AGA)のあるなしとは別に、50歳を超えると生理的老化のため毛髪の数が減少します。これを「老人性脱毛症」と呼びます。頭髪以外の体毛も減少します。加齢とともに女性にもびまん性脱毛が起こります。
日光曝露で起こるできものにはどういったものがありますか?
顔面、四肢など露光部は、長年の紫外線曝露により次のようなものが誘発されると考えられています。良性のものとしては「日光黒子」、「脂漏性角化症」、悪性化しつつある細胞が表皮内のみに限局しているものとしては「日光角化症(光線角化症)」、「悪性黒子」、悪性のものとしては「有棘細胞癌」、「基底細胞癌」、「悪性黒子型黒色腫」があります。
体に径2mmくらいの血液で満たされているような暗赤色のできものが年齢とともに増えてきました。これは何でしょうか?
加齢とともに四肢・体幹に「老人性血管腫」という無害なできものが出現する方もいます。特に治療の必要はありませんが、気になるようでしたら、冷凍凝固療法や炭酸ガスレーザーによる焼灼を行います。
加齢とともに出来る無害なできものは他にもありますか?
ございます。例えば、顔面に「脂腺増殖症」、陰嚢に「陰嚢被角血管腫」が出現する方もいます。
最近陰部の皮膚が白く硬くなってきました。婦人科に受診すれば良いのか皮膚科に受診すれば良いのか迷っています。どうすれば良いでしょうか?
皮膚科受診で良いと思います。「硬化性萎縮性苔癬」を鑑別する必要があります。厳密に診断するためには皮膚生検すると良いです。
「硬化性萎縮性苔癬」では陰部に萎縮と瘢痕様変化が起きます。多くは閉経後の女性に発症しますが、男性にも発症します。小児に発症することもあります。原因不明です。ステロイド外用を行います。有棘細胞癌の発生母地になるため、注意が必要です。
父は寝たきりで、極力陰部の清潔を保つようにはしておりますが、最近、陰部がただれてきました。どのような皮膚疾患が考えられますか?
尿や便失禁を繰り返すことで、非アレルギー性の「接触皮膚炎」を起こします。持続する湿った環境により「皮膚カンジダ症」を発症することもあります。
糖尿病、肥満、多汗がある方は、腋窩や股部の皮膚常在菌による日和見感染により境界明瞭な紅色~紅褐色の局面が形成されることがあります。「紅色陰癬」と呼びます。白癬のような中心治癒傾向はありません。細菌感染症ですが、経験的にイミダゾール系抗真菌薬外用が有効とされています。
診断には受診が必要です。診断の上、それぞれに合わせた治療を行います。
陰部に湿疹ができ、数か月間ステロイド外用を行っておりますが治りません。湿疹なのでしょうか?
陰部に難治な皮疹があるときは「パジェット病」という悪性腫瘍を鑑別する必要があります。同様に四肢・体幹に難治な皮疹があるときは「ボーエン病」という悪性腫瘍を鑑別する必要があります。
四肢・体幹に乾燥と湿疹があるため、保湿剤とステロイド剤を外用していますが、悪化の一途をたどっています。どうすれば良いですか。
老人施設を利用されている方で、頭頚部以外の部位に、夜間に瘙痒が強くなる難治な皮疹がある場合は「疥癬」を鑑別する必要があります。ダーモスコピーでヒゼンダニを確認し、顕微鏡で角質にヒゼンダニ、虫卵、糞などが含まれていることを確認できれば、確定となります。
まれではありますが、当初アトピー性皮膚炎のように見えることもある重要な疾患に「菌状息肉症」という皮膚悪性リンパ腫があり、注意が必要です。診断には専門的な検査が必要です。可能性があると判断された場合は対応できる病院へ紹介させて頂きます。
体が思うように動かせず、足の爪が上手くきれません。洗浄も上手くできないため、爪の周りに汚れが溜まってきています。どうすれば良いですか?
加齢とともにかがむことが難しくなり、特に一人暮らしの方は足の爪を切らずに異常に長く伸びていたり、爪周囲や趾間が不潔な状態になっていることがあります。
また爪の変形から上手く切れていなかったり、角質や細かいごみが隙間に挟まったままの状態になっている方もいます。姿勢が取れず手が届かないために爪が切れない、手が届いても爪の変形のため上手く切れない方は、受診して頂ければきっちりお手入れ致します。普段自宅では、毛の柔らかい新しい歯ブラシで優しく足趾を洗浄すると、隙間まで綺麗に洗うことができますので、お試しください。
長年足の水虫を放置していますが、特に困っていません。放置していても良いものでしょうか?
加齢とともに皮膚の抵抗力も下がり、「足白癬」、「足爪白癬」に罹患している方が多くいます。あるいはこれらから臀部、股部さらにその他四肢、体幹、頸部、顔面にまで拡大している方もいます。白癬に罹患している猫を可愛がっていて、猫からうつされ上肢、顔面、頭部に白癬を発症している方もいます。
特にステロイド内服・外用を行っていたり、寝たきりの方は広範囲に「体部白癬」を発症している方もいます。皮脂欠乏性湿疹と体部白癬が混在していている場合もあります。自分自身の体に拡大させないためにも、他人にうつさないためにも治療をお勧めします。
また、足白癬に罹患していると、細菌が皮膚に侵入しやすく、蜂窩織炎を起こす危険性が高まります。
母は腰が大きく曲がり、胸やお腹がいつもただれています。どうすれば良いですか?
骨粗鬆症で椎骨が圧迫骨折を繰り返し亀背の状態になっている方は、常に前屈みの姿勢になっており、乳房下や、腹部皮膚が折りたたまれた状態になり、皮膚どうしが常に密着した状態になっているため、十分に洗浄できずに汗や垢がたまり不潔になっている方もいます。
汗や摩擦で「湿疹」化していたり、「皮膚カンジダ症」を発症している場合もあります。夏場は小児のように、黄色ブドウ球菌感染から「伝染性膿痂疹(とびひ)」を発症する方もいます。
ご家庭では極力毎日石鹸洗浄し、清潔を保ってください。治療は状態に合わせて決まります。
若い頃は足にタコができることはありませんでしたが、最近は出来るようになりました。何故でしょうか?
加齢とともに脊椎、股関節、膝関節、足そのものの変形による足への加重のかかり方の変化、既製品の靴との相性から「胼胝(タコ)」、「鶏眼(ウオノメ)」を発症し、処置後も繰り返します。理想的には履物で荷重がどこかに集中しないよう、一人ひとりオーダーメイドで調節出来ると良いです。まだまだ日本国内ではこういった対応が出来る靴屋さんが少ないですが、徐々に増えています。価格はオーダーメイドのため割高になるようです。
友人が帯状疱疹で入院し、その後も疼痛に悩み通院しています。自分もいつかなるのではかと不安です。帯状疱疹を予防することはできますか?
加齢で免疫が低下することに加え、病気による消耗、治療によるさらなる免疫低下により、若年者に比べ帯状疱疹の発症頻度が高くなります。軽度で済む方もいますが、広範囲に水疱・びらんが出現したり、長期続く強い神経痛に悩まされたり、顔面や陰部・肛門周囲では種々の合併症を伴うこともあります。最近では予防接種も承認されましたので、帯状疱疹を予防したい方には接種致します。自費になります。
最近70歳代の夫は、しばらく歩くと下肢が痛いと立ち止まるようになりました。足にも中々治らない傷があるようです。どのような状態が考えられますか?
腹部から下肢にかけての動脈硬化による血管の狭窄・閉塞のため、下肢が虚血状態になり、下腿から足部にかけて皮膚潰瘍を発症する場合があります。「閉塞性動脈硬化症(ASO)」、「末梢動脈疾患(PAD)」と呼ばれます。根本治療はカテーテルによる血管拡張、ステント留置治療、人工血管によるバイパス術などになります。皮膚科の局所治療だけでは根本的な解決にならないため、精査・治療が必要な方は対応可能な病院へ紹介させて頂きます。進行すると治療は下肢切断となります。そうならないためにも、疑いがある方、診断がついた方は出来るだけ早期に適切な検査、治療を受ける必要があります。
夫は突然の腹痛とともに両足のゆびが黒く変色しました。病院を受診して検査したところ、腎機能も低下しており緊急入院となりました。何が起こったのでしょうか?
突然、下肢に網状皮斑、足趾にチアノーゼ、皮膚壊死、潰瘍、紫斑、疼痛が出現した場合は、「コレステロール結晶塞栓症」を考えます。これは大動脈壁にある粥状硬化巣からコレステロール結晶が剥がれ飛び、多数のコレステロールの破片があらゆる臓器の動脈を詰まらせ、急激な多臓器虚血を引き起こしたものです。下肢の動脈が急激に閉塞したため、上記症状が出現します。他臓器にも同様の変化が起こります。後遺症を残さずに済む場合もありますが、脳梗塞、心筋梗塞、腸管の虚血症状、筋痛、腎梗塞による腎不全などを伴うこともあります。緊急で人工透析が必要となったり、壊死しつつある腸管を切除する手術が必要になる場合もあります。はっきりとした誘因なく突然起こることもありますが、カテーテル治療後に発症することもあります。全身精査・管理が必要ですので、疑われる場合は対応可能な病院へ紹介させて頂きます。

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